この記事で解決できる悩み
「新NISAを始めたけど、売り時が分からない…」
「30代の自分は、教育資金や住宅ローンを考えると、いつ売るのがベストなんだろう?」
こんな悩みを抱えていませんか?
将来を考えると、利益は最大化したいし、損もしたくないですよね。
NISAを5年以上運用し、FP2級の資格を持つ私が、そんなあなたの疑問を解決します。
結論から言うと、新NISAの売り時は「何のためにお金を増やしていくか」という目的を最初に決めておくことが重要です。
ぼくは主に教育資金と老後資金をつくる目的で新NISAを運用しています!
この記事では、30代向けの売却タイミングやNGな売り方、教育資金のシミュレーションまで徹底解説。
記事を読めば、あなたに合った新NISAの出口戦略が見つかりますよ。


新NISAの売却ってなに?

新NISAの「売却」とは、NISA口座で保有している投資信託や株式などの金融商品を現金に換えることです。
新NISAには売却した非課税投資枠が翌年に復活するといった、通常の投資とは異なる特徴があります。
売却した商品を購入したときに要した金額分の非課税枠が、翌年以降に再び利用できるようになる仕組みです。
例えば、100万円で買った商品を売却した場合、売却時の価格に関わらず、翌年に100万円分の非課税枠が回復します。
この非課税投資枠の復活を理解しておくことで、ライフイベントに合わせて柔軟に資産を活用できます。
売却の決断に影響するもの

新NISAの資産をいつ売却するかは、多くの人が悩む部分かもしれません。
売却には、ご自身のライフプランや運用期間といった要素が影響します。
売却のタイミングを考えるうえで、特に30代の方が意識しておきたい、2つの要素について解説していきます。
ライフプランとさまざまなタイミング
新NISAの売却を検討するタイミングは、人それぞれ異なります。
30代の方であれば、将来のライフイベントが大きな判断材料になるでしょう。
例えば、
「子どもの教育資金として大学入学時に使う」
「住宅購入の頭金に充てる」
このような具体的な目的のために、必要な時期が来たら売却を検討します。
また、「目標金額の500万円に到達したら」というように、あらかじめ決めておいた金額に達した場合も一つのタイミングです。
新NISAはいつでも売却できる自由度の高さが魅力。
新NISAでは、こうした人生の節目や目標に合わせて柔軟に活用することができますよ。
新NISAの運用期間
NISAでの資産売却の検討は、運用期間の長さも意識しましょう。
新NISAは非課税で運用できる期間が無期限になったため、長期的な視点で資産を育てられます。
一般的に、投資は運用期間が長くなるほど、短期的な市場の価格変動の影響を受けにくくなります。
その結果、安定したリターンが期待できる傾向があります。
30代は、老後まで数十年という長い時間を味方につけられます。
長期間、運用を続けることで、複利効果(利益が利益を生む効果)も大きくなるでしょう。
焦って短期間で売却するのではなく、じっくりと時間をかけて資産を成長させる視点が大切です!
新NISAの売却を検討するタイミング

新NISAの資産をいつ売るか、具体的なタイミングに悩む30代の方も多いはずです。
明確な正解はありませんが、判断の軸となるいくつかのパターンを知っておくと、いざという時に慌てずに行動できます。
新NISAの売り時として考えられる代表的な3つのタイミングを紹介します。
目的の金額へ達成した時
NISAをはじめる前に設定した目標金額へ到達したときが、売却を検討する良いタイミングです。
感情に流されず、計画的に利益を確定させることができます。
「子どもの大学費用として500万円貯める」
「住宅購入の頭金に1,000万円」
といった具体的な目標金額を決めておきましょう。
その金額に達したら、一度売却して目標を達成し、リスクの少ない預金などに移すのが一つの方法です。
もちろん、全額売却する必要はありません。
目標達成に必要な分だけを現金化し、残りは運用を続けることもできます。
ライフイベント発生時
結婚や出産や住宅購入
子どもの進学
などといった大きなライフイベントが発生した時も、新NISAの売却を検討するタイミングです。
新NISAは、こうした人生の節目で必要となる、まとまった資金を準備するための有効な手段です。
たとえば、30代で住宅ローンを組む際に、新NISAで増やした資産を頭金の一部にあてることで、借入額を減らし、将来の返済負担を軽くすることができます。
ただし、ライフイベントの時期と市場の状況が一致するとは限りません。
資産が値下がりしているタイミングで無理に売却しなくて済むように、ある程度の現金も別に確保しておくことが大切です。
10年以上先のタイミングを想定しよう
30代の方がNISAを活用する上で、10年以上先を見据えた長期的な視点は欠かせません。
NISAは本来、短期的な利益を狙うものではなく、時間をかけて資産を育てるための制度です。
お子さんがまだ小さい場合、15年以上先の大学進学資金に充てることが考えられるでしょう。
自分たちの老後資金を準備するといった、すぐに使う予定のないお金を準備するのにも適しています。
投資には価格変動のリスクが伴いますが、10年、15年という長い期間をかけて積立や分散投資を行うことが大事です。
数年以内に使う予定のお金は預貯金で確保し、NISAでは長期的な目標に向けた資産形成にじっくり取り組む。
この使い分けが、将来の安心につながりますよ。
やってはいけない売却方法

新NISAの資産を売却する際には、損失を大きくしてしまう、やってはいけない売り方があります。
特に30代の方は、長期的な視点を忘れて、目先の動きにまどわされないようにしましょう。
新NISAで避けるべき3つの売却方法について解説します。
損切りを目的に確定する
市場が下落し、評価額がマイナスになった時に、焦って売却してしまうのは避けたい行動の一つです。
「狼狽(ろうばい)売り」とも呼ばれ、長期投資の成果を損なう典型的な失敗例です。
市場は常に上下を繰り返すものであり、一時的な下落はつきものです。
下落時に売却してしまうと、損失が確定するだけでなく、その後の市場回復の恩恵を受けられなくなってしまいます。
NISAでは損失が出ても、他の課税口座の利益と相殺する「損益通算」ができないため、制度上のメリットも活かせません。
元々の運用目的を考えずに売却する
NISAを始めた当初の目的を忘れて、感情的に売却してしまうのも避けるべきです。
多くの方は「子どもの教育資金」や「老後資金」といった、長期的な目標のためにNISAを始めたはずです。
それにもかかわらず、市場が少し好調だからといって目先の利益を確定させたり、逆に少し下落したからと怖くなって手放したりするのは、本来の目的と違う行動と言えます。
大切なのは、日々の価格変動に一喜一憂せず、「何のために資産形成をしているのか」という原点に立ち返ることです。
目的達成までの期間を再確認し、計画に基づいた冷静な判断を心がけましょう!
短期間で売却を繰り返す
新NISAの非課税メリットを活かすためにも、短期間での売買を繰り返すのはおすすめできません。
新NISAでは、商品を売却しても年間投資枠はその年には復活せず、再利用できるのは翌年以降です。
年間投資枠はつみたて投資枠120万円・成長投資枠240万円となります。
そのため、デイトレードのように頻繁に売買を繰り返すと、あっという間にその年の非課税枠を使い切ってしまいます。
長期的な視点で大きなリターンを狙えるはずの非課税投資の機会を、少額の利益確定のために失うのはもったいないでしょう。
新NISAは、長期投資でこそ、真価を発揮する制度だと理解しておくことが重要です。
教育費の準備を目的にした新NISAの活用
30代になると、子どもの将来を考え、教育費の準備について具体的に考え始める方が多いでしょう。
新NISAは、教育資金作りの強い味方になりますが、教育費の実情を知っておくことは重要です。
教育費が実際にいくらかかるのか、国の支援制度、そして新NISAを使った具体的なシミュレーションまで、教育費準備のポイントを解説します。
子どもに要する教育費
子どもの教育費は、進路によって大きく変わることをまず理解しておきましょう。
文部科学省の調査によると、幼稚園から大学まですべて公立だった場合でも約800万円、すべて私立(大学は理系)だと2,400万円以上かかるとされています(※1-2)。
特に負担が大きくなるのが大学費用です。
国公立か私立か、文系か理系か、そして自宅から通うか一人暮らしかによって、数百万円単位で金額が変わってきます。
教育が必要になるタイミングで、このまとまった資金を慌てて用意するのは困難です。
30代のうちから、将来を見据えて計画的に準備を始めることが大切になります。
教育費への国の支援制度

NISAでの資産形成と並行して、国が用意している教育費支援制度を活用できると、家計の負担を軽減できます。
代表的なものとして、高校生までの子どもがいる家庭に支給される「児童手当」や、高校の授業料負担を軽減する「高等学校等就学支援金制度」があります。
また、大学進学時には、返済不要の「給付型奨学金」や、低金利で借りられる「貸与型奨学金」も選択肢となるでしょう。
ただし、これらの制度はあくまで家計を補助するものです。
土台となる教育資金は、新NISAなどを活用して計画的に準備していく必要があります。
子どもの教育費づくりをシミュレーション
新NISAを活用すれば、月々の積み立てで効率的に教育資金を準備できる可能性があります。
例えば、子どもが生まれた直後から毎月3万円を、年利5%で運用できたと仮定してシミュレーションしてみましょう。

添付のグラフにあるように、5年後には積立元本180万円に対し、運用収益が約24万円上乗せされます。
さらに18年間続けると、積立元本648万円が複利の効果で増え、運用収益は約400万円、合計で約1,048万円の資産になる計算です。
これだけの資金があれば、大学費用にも十分備えられますね。
※ただし、このシミュレーションは、あくまで18年間という長期運用が前提です。
一般的に10年未満の運用期間では、市場の変動によって損失を抱えたまま、お金が必要な時期を迎えてしまう可能性があります。
そのため、教育費をNISAで準備する場合は、少なくとも10年以上の運用期間を確保できるかが一つの目安となります。
旧NISAの掛け金はどうする?
2023年までの旧NISA(つみたてNISA・一般NISA)で投資をしていた30代の方も多いでしょう。
新NISAが始まり、旧NISAで運用してきた資産をどう扱えば良いか悩むかもしれません。
ここでは、旧NISA資産の主な3つの出口戦略について、それぞれの特徴を解説します。
売却して新NISAで運用する
旧NISAの資産を一度売却し、その資金で新NISAの非課税投資枠を使って、新たに投資するのがいいでしょう。
旧NISAの非課税期間には限りがありますが、新NISAは生涯にわたって非課税のメリットを受けられます。
例えば、旧つみたてNISAの資産が利益確定できるタイミングで売却します。
その資金を原資に新NISAで長期運用を再開すれば、非課税のメリットを最大限に活用できるでしょう。
ただし、旧NISAを売却しても新NISAの年間投資枠(最大360万円)を超えて一度に投資はできません。
計画的に資金を移していく段取りが必要です!
順を追って売却していく
旧NISAの資産を一度にすべて売却するのではなく、非課税期間の終了が近づくものから順を追って売却していく方法もあります。
旧NISAは取得した年ごとに非課税期間が設定されているため(つみたてNISAは20年、一般NISAは5年)、それぞれの終了時期を管理する必要があります。
例えば、「子どもの大学入学のタイミングで、非課税期間が終わる資産から必要な分だけ売却する」といった計画的な活用が可能です。
この方法なら、市場の価格変動リスクを時期ごとに分散させつつ、必要な時に資金を取り崩せます。
ただし、どの資産がいつ非課税期間を終えるのか、管理が少し複雑になる点は注意しておきましょう。
課税口座へ移して運用を続ける
旧NISAの非課税期間が終了した資産は、売却せずに課税口座(特定口座など)へ移管して運用を続けることも可能です。
この場合、非課税期間が終了した時点の価格が新たな取得価額となり、それ以降に発生した利益に対しては20.315%の税金がかかります。
例えば、含み益が出ている状態で非課税期間が終了し、課税口座に移管した場合、その後の値上がり分にのみ課税されます。
当面使う予定がなく、新NISAの投資枠も使い切っている場合には有効な選択肢ですが、非課税の恩恵は受けられなくなります。
基本的には売却して新NISAで再投資する方が有利なケースが多いですよ。
30代からの新NISAは「売り時」を意識した長期運用を続けよう
この記事では、30代の方が新NISAを売却するタイミングや、やってはいけない売り方、そして教育資金の準備といった具体的な活用法まで解説してきました。
本記事のおさらいです。
新NISAの売り時に絶対的な正解はありませんが、「何のためにお金を貯めるのか」という目的を明確にしましょう。
そして、10年以上の長期的な視点で運用を続けることが、30代の資産形成では重要です。
この記事を参考に、あなた自身のライフプランに合わせた賢い「売り時」を考え、将来の安心を手に入れるための一歩を踏み出してください。
【参考文献・参照データ】
※1 文部科学省”令和5年度子供の学習費調査の結果について” (閲覧日: 2025-07-27)
https://www.mext.go.jp/content/20241225-mxt_chousa01_000039333_1.pdf
※2 文部科学省”私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について:文部科学省” (閲覧日: 2025-07-27)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1412031_00005.htm